「デジタル遺言」の創設?

「自筆を原則とする遺言の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)の部会が15日、中間試案を取りまとめた。パソコンやスマートフォンで作成できる「デジタル遺言」創設の複数案を提示。相続への関心が高まる中、電子機器の活用を進める。意見公募を経て要綱案をまとめ、法務省は早ければ来年の通常国会で民法改正案の提出を目指す。」(2025/7/15 共同通信抜粋)


 政府はかなり本気で検討しているようですね。

 現行民法では、遺言書作成の方法としては大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があり、公証人が作成し遺言者の能力と内容を担保する公正証書遺言とは異なり、遺言者が原則全文、日付、氏名を自書することを要件とする自筆証書遺言は、これからますます普及していくデジタル時代にはやや制度的に時代遅れの感は否めず、遺言者の手間もかかり、何より真正な遺言者が真意をもって作成した遺言書か否かで争いが発生しやすい欠点があります。

 自筆証書遺言の家庭裁判所の検認はこの欠点を補う機能はなく、法務局保管制度では遺言書の内容や形式までは完全にフォローはしませんので自筆証書遺言の欠点を完全に補完することはできません。
 「デジタル遺言」が、これら自筆証書遺言の欠点を補う機能を持つことを期待したいと思います。

 法制審議会の部会では遺言書を電子機器で作成した上で大きく分けて3案が提示されたとのこと。
(1)本人が内容を朗読した様子を録音や録画で記録
(2)データを公的機関で保管
(3)プリントアウトするなどした書面を公的機関で保管―とした。
 偽造や変造を防止し本人による作成を裏付けるため、朗読する姿を録音・録画した際に2人以上の証人が映るようにする案や、電子署名を活用する案を提示。

 簡易性と真実担保性のバランスをどうとるかだと思いますが、私としては(1)の録画で証人2名も同席、そのうえでデータを公的機関で保管する案が現実的ではないかと考えます。

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