「相続財産管理人」というと、相続人がいない場合の手続きでしょ?とか国に財産が行くやつでしょ?と思う方が多いと思います。
2023年4月1日の民法改正で、その相続財産管理人は「相続財産清算人」に変更されました。
それじゃ、相続財産管理人は法律上なくなったのかというと、そうではありません。
民法第897条の2第1項には相続財産管理人が規定されています。
「家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。」
この相続財産管理人は、単に相続財産の保管維持をするだけの役割で、最終的には相続人などに財産を引き継ぐ役割をする者をいいます。
よくあるケースは、被後見人の死亡後、成年後見人が相続人に財産を引き継ごうとしても引き取らない場合によく使われます。
この単に財産を保存するだけの相続財産管理人、改正前の民法(相続法)第918条2項に規定されていましたので、実は新しい制度ではありません。
ちなみに、私は、成年後見人の審判確定前にご本人が死亡し、財産は預かっていたものの相続人が特定できなかったため、家庭裁判所に申立をして、相続財産管理人に就任したことがあります。