相続と生前贈与の違いと手続きのポイント

生前贈与とは

生前贈与は主に相続対策として行う贈与で、与える側(贈与者)ともらう側(受贈者)との間の契約により成立します。

親から子へ、夫から妻へというケースが多いと思います。

相続は、被相続人が亡くなられた後に相続人に遺産の全部が包括的に承継されるの対し、贈与は生前まだ元気なうちに相続人となる者(推定相続人)に特定の財産をタダであげるものです。

生前贈与はあくまで契約ですので、贈与者も受贈者も売買などと同様かもしくはそれ以上に判断能力が求められますので、認知症などにより判断能力がない場合には生前贈与は成立しないことになります。

相続税対策としての生前贈与

相続時の遺産総額を減らす目的で、生前贈与を活用する方も多いと思います。

贈与税の年間の基礎控除額110万円を、金銭あるいは不動産の相当で毎年不定期に贈与する方法や、贈与税を払っても遺産を減らした方が得になる場合などがこれに当たります。

注意点

① 故人の生前贈与がすべて遺産から除外されるわけではありません

相続税の課税対象になる生前贈与が、「死亡までの3年内」が「死亡までの7年以内」に変更になります。

これは贈与者(故人)の死亡日が令和9年1月1日以降より適用になります。

相続税対策としての生前贈与がやりづらくなりますので、検討の方は早めの検討をお勧めします。

具体的には下記のとおりです。

贈与者の死亡日 相続税の課税対象になる生前贈与財産
~令和8年12月31日 死亡までの3年以内に贈与された財産
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日以降に贈与された財産
令和13年1月1日~ 死亡までの7年以内に贈与された財産

② 贈与の登記では、不動産取得税がかかり、登記にかかる登録免許税も割高です

贈与の登記では、不動産取得税がかかります。

概ね、固定資産税評価額×4%です。

また、贈与登記では、登記にかかる登録免許税が、相続の場合の固定資産税評価額の0.4%%ではなく、2%で算定されますので、割高になります。

相続と贈与の登記手続きの違い

相続の登記手続き

相続による名義変更登記(所有権移転登記)は、包括承継といって、故人の死亡により相続人に当然に遺産が移転するものです。

あとは遺言書や遺産分割協議書などにより具体的に相続した財産を証明して相続人から単独で登記申請することができます。

相続の登記

申請人  相続人からの単独申請


原 因  〇年〇月○日(故人の死亡日)相続


添付書類 戸籍謄本等の相続を証する書面、相続人の住民票など

これに対し、生前贈与による名義変更登記(所有権移転登記)は、贈与者と受贈者との契約成立により所有権が移転することから、贈与契約書などを添付して贈与者と受贈者が共同で申請する必要があります。

贈与の登記

申請人  贈与者と受贈者


原 因  〇年〇月○日(契約日)贈与


添付書類 贈与契約書(登記原因証明情報)、贈与者の権利証(あるいは登記識別情報通知)、贈与者の印鑑証明書(3か月以内)、受贈者の住民票

贈与税について

基礎控除額 110万円(年間この範囲であれば非課税です)

一般税率

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1,000万円以 40% 125万円
1,000万円超1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

特例税率(18歳以上の人が両親や祖父母など直系尊属から財産をもらった場合に適用)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

贈与税は相続税に比べて税率が高いですが、非課税になる特例もあります。

また、生前贈与を受けておきたいが贈与税を支払う余力がないという方には相続時精算課税制度というものがあります。

当事務所では、資産税に強い税理士と提携しご依頼者にあったご提案が可能ですので、遠慮なくご相談ください。

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