府中市にお住まいだった方が亡くなり、「相続放棄をしたい」「自宅から手書きの遺言書が見つかった」という場合、手続きをするのは府中市内の役所ではなく、東京家庭裁判所立川支部です。この記事では、立川支部で行う相続放棄と遺言書の検認(けんにん:家庭裁判所で遺言書の状態を確認・記録する手続き)について、必要な書類・費用・流れと、つまずきやすい点を司法書士が解説します。相続放棄の期限や考え方そのものは相続放棄の手続きと期限でも解説しています。
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府中市の方の手続きは「東京家庭裁判所立川支部」
相続放棄も遺言書の検認も、亡くなった方の最後の住所地を受け持つ家庭裁判所に申し立てます。東京都内では、23区などは東京家庭裁判所(本庁・霞が関)、府中市を含む多摩地区の市町村は立川支部の担当です。手続きをする相続人がどこに住んでいるかは関係ありません。たとえば相続人が大阪にお住まいでも、亡くなった方の最後の住所が府中市なら、申立先は立川支部です。
| 名称 | 東京家庭裁判所立川支部 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都立川市緑町10-4(郵送の宛先:〒190-8589 東京家庭裁判所立川支部 家事事件係) |
| 担当する地域 | 府中市・調布市・国立市・立川市・八王子市など多摩地区の市町村 |
| 提出方法 | 窓口への持参、または郵送 |
ご注意:立川支部の庁舎内では、令和5年3月1日から収入印紙と郵便切手を買えなくなっています。郵便局などで事前に用意してからお出かけください。受付時間や必要書類は変更されることがあるため、最新の情報は裁判所の公式サイトでご確認ください。
相続放棄の申述(しんじゅつ)
期限は「相続を知ったときから3か月以内」
相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません(民法第915条)。財産や借金の調べがつかず3か月では判断できない場合は、期限内に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることで、期間を延ばしてもらえることがあります。
費用
- 収入印紙:申述する人1人につき800円
- 連絡用の郵便切手:110円×4枚(440円分)
- 戸籍謄本・住民票の除票などの取得費用
必要な書類
相続放棄の申述書のほか、亡くなった方との関係によって次の書類が必要です(戸籍は3か月以内に発行されたもの。コピーの提出も認められていますが、原本を求められることがあります)。
| 放棄する人 | 主な添付書類 |
|---|---|
| 配偶者 | 亡くなった方の住民票の除票(または戸籍の附票)、亡くなった方の死亡の記載のある戸籍 |
| 子(第1順位) | 上記に加えて、放棄する人の現在の戸籍謄本 |
| 父母・祖父母(第2順位) | 亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍、放棄する人の現在の戸籍謄本 |
| 兄弟姉妹(第3順位) | 第2順位の書類に加えて、亡くなった方の父母・祖父母の死亡の記載のある戸籍 |
父母や兄弟姉妹が放棄する場合は、先の順位の相続人(子など)の相続放棄が受理されてからでないと申述できません。家族全員で放棄する場合は、順番に手続きを進める必要があります。
申述から受理までの流れ
- 申述書の提出:申述書と添付書類を立川支部に持参または郵送します
- 照会書への回答:裁判所から、放棄の意思や亡くなったことを知った日などを確認する書面(照会書)が届くことがあります。期限までに回答して返送します
- 受理の通知:申述が受理されると「相続放棄申述受理通知書」が届きます
- 債権者などへの提示:金融機関や他の相続人から証明を求められた場合は、別途「相続放棄申述受理証明書」を申請します
相続放棄でつまずきやすい点
- 財産に手をつけてしまう:亡くなった方の預金を引き出して使う、不動産を売る、などの行為をすると、相続を承認したものとみなされ、放棄できなくなることがあります(民法第921条)
- 3か月の数え方:期限は「亡くなった日」ではなく「自分が相続人になったことを知った日」から数えます。先順位の方が放棄したことで後から相続人になった場合は、そのことを知った日からです
- 不動産の管理:放棄をしても、そのとき実際に占有している財産(空き家など)は、ほかの相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存する義務があります(民法第940条)
遺言書の検認
検認が必要な遺言書・不要な遺言書
自宅などで見つかった手書きの遺言書(自筆証書遺言)は、保管していた人や見つけた相続人が、遅滞なく家庭裁判所に検認を請求しなければなりません(民法第1004条)。一方、公正証書遺言と、法務局の遺言書保管制度で預けられていた自筆証書遺言(遺言書情報証明書が交付されるもの)は、検認が不要です。遺言書の種類については遺言書の種類と選び方をご覧ください。
封がされた遺言書は、絶対に開けないでください。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いのもと開封することになっています。家庭裁判所の外で開封すると5万円以下の過料の対象になります(民法第1005条)。開封しても遺言が無効になるわけではありませんが、他の相続人から改ざんを疑われる原因になります。
費用
- 収入印紙:遺言書(封書の場合は封書)1通につき800円
- 連絡用の郵便切手:110円×(申立人+相続人の人数×2)枚。相続人の人数には、遺言で財産を受け取る人(受遺者)も含みます
- 検認済証明書の申請:遺言書1通につき150円分の収入印紙
たとえば、申立人が長男で、相続人が長男・長女・次男の3人なら、長男は「申立人」として数えるため、切手は110円×(1+2人×2)=5枚(550円分)になります。
必要な書類
- 検認の申立書
- 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 封がされていない遺言書の場合は、遺言書のコピー
相続人が兄弟姉妹になる場合などは、遺言者の父母の出生から死亡までの戸籍も必要になり、集める戸籍の量が多くなります。遺言書の原本は、申立てのときではなく、検認の日に持参します。
申立てから検認済証明書までの流れ
- 申立て:申立書と戸籍を立川支部に提出します
- 検認期日の通知:裁判所から相続人全員に、検認を行う日(検認期日)が通知されます。申立人以外の相続人が出席するかは自由で、全員がそろわなくても検認は行われます
- 検認期日:申立人が遺言書と印鑑を持参し、裁判官が出席した相続人の前で開封・確認します
- 検認済証明書の申請:遺言書に検認済証明書を付けてもらいます。不動産の名義変更や預金の解約には、この証明書付きの遺言書が必要です
なお、検認は遺言書の状態を記録する手続きで、遺言が有効かどうかを判断するものではありません。検認を受けた遺言書でも、日付や押印の不備などで不動産の名義変更に使えないことがあります。
検認のあとの相続登記
検認済証明書付きの遺言書があれば、遺言の内容に従って不動産の名義変更(相続登記)を申請できます。府中市内の不動産であれば申請先は東京法務局府中支局です。申請の流れは東京法務局府中支局で相続登記を申請する流れで解説しています。相続登記は令和6年4月から義務化されており、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。
司法書士にご依頼いただく場合
相続放棄の申述書や検認の申立書は、司法書士が作成して家庭裁判所に提出できます。戸籍の収集から書類作成、照会書への回答のご案内、検認後の相続登記までまとめてお引き受けしますので、仕事や遠方で立川支部に何度も通えない方もご相談ください。3か月の期限が迫っている場合は、お早めにお電話ください。料金は料金一覧をご覧ください。

